とんとかいも日記

現在『試運転中』です

”みかか代”に苦しんだあの頃のおはなし

むかしね。今日は、まだインターネットなんて無い時代の「パソコン通信」のおはなし。

前回のポケコンのおはなしで、念願のコンピューターを手に入れたことを書いたね。オレはなんとかしてコンピュータを使おうと、がんばってプログラム作りに没頭してたんだけど、それについてはまたいつか書こうと思う。

今日の話はそれから数年後。パソコン通信の頃のはなし。80年代後半の頃だ。

 

オレも学校を卒業し、いっぱしの社会人として働き始めたころだな。働き始めてしばらくすると、ある程度自由に使えるお金もたまってくる。で、どうしたか。もちろんパソコンを買い替えたよ。

NEC PC-9801VX2】初めての16ビットパソコンだよ。うっしっし。

その前に使っていたパソコンは、同じNECのPC-8801mkII これはオレのパソコン2代目だ

このPC-98をいくらで買ったかは忘れちゃったけど、月賦で払ったのは間違いない。今調べて見たら本体だけで定価433,000円だったそうだ。当時は大幅値引きが当たり前の時代だったけど、それでも30万円代半ばくらいはしたはずだ。バブル前夜の上昇志向の時代とはいっても、現金一括はいくら何でもムリだったですわ。

このパソコンは当時”98”(”キューハチ”と読みます)という愛称で呼ばれ、その当時の日本のパソコンの代名詞と言っても良いくらいのスゲぇよく売れたシリーズ。そのことを書きはじめたら夜が空けっちまいそうなので、またいつか気が向いたとき書こうね。

さて、今日はの話は「どうやってパソコン通信をやっていたのか」というはなしにしようか。

当時”パソコン通信”と一口に現してたけど、ちょっと細かくいうと電子掲示(bulletin board system:BBS)と呼ばれるサイトで主に文字情報でコミュニケーションすることを言ってたんだね。今、Webサイトを巡ったりSNSを使うことを単に”インターネットで”というのと同じだわ。

BBSは、当時からあったBIGLOBENIFTY-Servといった大手サイト以外にも”草の根BBS”と呼ばれる、小規模サイトが日本全国にたくさん出来ていた時代だ。

これらのBBSはそれぞれ完全に独立していて相互間の接続が一切無いことが今のインターネットサイトを違うところだ。

インターネットしか知らないほとんどの人には想像がムズいと思うけど、ネットにつなぎっぱなしにして「それぞれのBBSを渡り歩く」ということができない。別のBBSに繋ぐためには、今見ているBBSへのネット接続を切って、改めて別のBBSサイトに接続し直さなければいけないんだよ。意味わかる??

例を挙げよう。今Yahoo!を見ている。次に、はてブを見に行きたいと思ったら、Yahoo!を見ているプロバイダーを切断して、別のはてブ専用プロバイダーに接続し直さないといけないんだよ。わかるかな?(わかんねぇだろーな〜)

まあ、当時のパソコン通信というものはBBSサイトの数だけ専用の接続プロバイダーがあるようなものだったといえば、すこしは想像できるかな。

 

さて、今のパソコンは、インターネットプロバイダーとの契約さえあれば、ウチにあるルーターにLANケーブルを挿すかWi-Fiに繋げば、ほぼ全自動でにインターネットに繋がるはずだ。(便利になったもんだ)

じゃぁ、昔のパソコンはどうやって、パソコン通信=BBSに接続したんだろう。

やっと手に入れた高価なパソコンPC-9801VX2には、LANポートなんて付いて無い!ないのよ。信じられないだろうけど、当時のパソコンはネットに繋ぐなんて全く考てなかったのよ。

もちろん、当時、個人用光回線なんてあるはずないない!外と通信できそうな回線はNTTの固定電話回線だけ。おしゃべり専用ですね。で、このおしゃべり用回線をパソコン同士の通信に使えないかって考えた人が居たんですね。

信じてくれるかどうか分かんないけど、この音声用の回線でデジタル通信しちゃおうっていう「究極の裏技」をやっちゃうのが、”モデム”という機器だったんだよ。

これは文字通りほんとに裏技で、当時の電話回線は音声通信のみの通話が許されていたんだって。データ通信は専用の通信回線を使ってほしいというのがNTTのスタンスだったって事だね。で、どうしたかといえば、モデムを使ったパソコン通信は「みなし音声」として扱おうという、ほんとに裏技的な機器だったんよね。事実モデムは音声回線に「ピーガーガー」という「音声」を載せて通信しているんですよ。

パソコン通信の初期の頃は「音響カップラ」という原始的な機械があって、本当にスピーカーの音を受話器に直接聞かせて使ってたんだよ。まじで。

それで通信できる速度は300bps。(高速なモデムは、まだ高かったのよ)

今の普通の光ファイバだと少々遅くても300,000,000bpsは出るはず。

ケタ間違ってませんよ。1秒間に300ビットの通信速度。日本語にすると1秒間に15文字程の転送速度よ。そんな速度だから文字情報をダウンロードしてるときなんかは、通信データをナマで画面にそのまま直接表示して目で読むってことも普通にできたのよね。

文字を目で追えるくらいの通信速度なのよね。(で、じっくり読みたいときはpause信号を送出して通信=表示を一時停止できた)

 

さて。ここで思い出してほしい。このパソコン通信は電話の音声通話を使ってるってこと。つまり当時で3分10円の通信費がリアルタイムでかかってるってこと。

そしてちょっと考えてみてほしい。オレのようなど田舎の住人には「市内通話」で通信できるところに、BBSのサイトなんてあるワケない!

BBSのサイトってやっぱり県庁所在地等の大都市に集中してるわけで、とうぜん市外通話料金がかかってくるわけよ。当時は距離によって料金が変わる時代だったので、近隣の大都市にあるBBSへ繋ぐと、だいたい45秒ごとに40円持ってかれるわけ。(今のケータイのカケホ割引無しで通話しているような感覚といえば、その恐ろしさがわかるだろ?)

まぁ、駆け足で掲示板を回っても、10分も繋ぎっぱなしにしてたらあっという間に500円くらいは持っていかれるわけ。これを一日に数回、それを毎日やっちゃったとなると一ヶ月の電話代請求が・・・2万〜3万円とかにwww

で、親が驚くわけよ。今まで月3千円もかかってなかった電話代がいきなり10倍になっちゃうわけだから、何かの間違いだろうってNTTに問い合わせる。

で、まぁ、家に帰ったとたん、待ち伏せてた親父にこっぴどく叱られて、これから月々の電話代はオレが払うってことになったのよね。

オレ等の世代ではみな身に覚えがあるはずだよ。そうだよネッ。ね!!

先日サービスが終了した「カケホーダイ」という、まさにこのための料金固定通話サービスが始まるのは、もう少ししてからですね。

 

ちなみにオレが300bpsのモデムを使ってたのは、ほんの数ヶ月で、すぐに高速なモデムが値下がりしてきて、結構な頻度で買い替えました。当時は普通の電気屋パソコンコーナーでもソコソコの値段で下取ってくれんで。機器の進歩も速かったけど、買換もやりやすかったんですね。

パソコン通信用モデムの速度は、300→1200→2400→4800・・・とどんどん高速になって 最終的には54Kbpsのモデムも発売されたけど、その頃はISDN64という”超高速”デジタル通信が広がってきたな。ISDN単線では64kbps、2回線束ねて120kbpsという当時でとしては桁違いの速度が出せるようになったのは、20世紀の終わり頃でしたか…。(このサービスも、先日終了しちゃいましたね)

 

ちなみに、若い人にとってパソコン通信(BBS)の世界って聞いたことはあってもどんな世界だったのか、想像すら出来ないと思うけど、オレ最近気付いたんだ。

Discord等の分散SNSのサーバー群が、なんとなく昔のBBSの各サイトの雰囲気に近い感じがあるかもな…と。

 

結局人間って、数十年たっても同じことやってるじゃんww

 

【追記】

そうそう。題目の「みかか代」っていうのは、キーボードの”カナ”に振られてるアルファベット。オレ世代の人は、皆かなり貢いだと思いますよww

今日見かけたナンテンの実
とおもったら、ちょっと違うね、何の実だったっけ?